今回は、理容師の役割とは何か、理容師と美容師の違い、理容師の必要な資格と取得方法についてお話ししたいと思います。
理容師の役割とは?
理容師とは、髪の毛やひげなどの毛髪を整えることを主な仕事とする職業です。
理容師は、カットやパーマ、シェービングなどの技術を使って、お客様の髪型や顔型に合わせてヘアスタイルを提案し、施術します。
理容師は、主に理容室などで働くことが多いですが、病院や介護施設などで医療的な理容を行うこともあります。
高齢者や障がい者の髪の手入れなどです。
このように、理容師は、お客様の健康や美しさをサポートする重要な役割を担っています。
理容師と美容師の違い
理容師と美容師はどう違うのでしょうか?
理容師と美容師はともに「国家資格」が必要な職業です。
どちらも髪を扱う仕事で、一見似ているように見える両者ですが、実は大きな違いがあります。
業務内容についてですが、理容師は「頭髪の刈込、顔そり等の方法による容姿を整えること」と定められています。
一方、美容師は「パーマネントウェーブ、結髪、化粧などの方法で容姿を美しくすること」と定められた仕事です。
具体的には、
・理容師:カット・パーマ・シェービング
・美容師:カット・パーマ・ヘアセット・メイク
というように分かれています。
シェービングは理容師しか行えませんし、ヘアセット、メイクは美容師しか行えません。
このように、理容師と美容師は、それぞれに特化した技術や知識を持っています。
最近では、お客様のニーズに応えるために、両方の資格を取得するダブルライセンスを目指す人も。
2018年4月より制度が改正され、養成施設ではダブルライセンス取得者向けの習得課程が設置できるようになりました。
そのため、理容師免許取得者は通常の就学期間である3年を半減した1年6ヶ月で通信課程を終えることができます。
理容師の必要な資格と取得方法
理容師の必要な資格と取得方法について説明します。
理容師になるには、「理容師国家試験」に合格する必要があります。理容師国家試験は、毎年2回(春期1月~3月と秋期7~9月)実施されており、筆記試験と実技試験からなります。
筆記試験は、「関連法規・制度」「衛生管理」「保険」「化粧品科学」「文化論」「理容技術理論」の7科目。
実技試験は、「カッティング」「シェービング」「整髪」の工程・仕上がりを審査します。
合格率は春期が約80%、秋期が約70%です。昼間課程の学生の比率が高い春期と通信課程の学生の比率が高い秋期で合格率に差があることがわかります。
理容師国家試験を受けるには、厚生労働大臣の養成施設(理容学校)を卒業しなければなりません。
理容学校は、「昼間課程(2年制)」か「通信課程(3年制)」のコースがあります。
理容師を目指す学生はほとんどが昼間課程で、既卒者や社会人が働きながら通信課程で資格取得を目指します。
理容学校の授業料は昼間課程で約200万円、通信課程が100万円前後です。
理容師のスキルと技術
理容師として活躍するためには、様々なスキルや技術を身につける必要があります。
理容師は、髪の毛だけでなく、ひげや眉毛などの顔の毛も扱うプロフェッショナルです。
そのため、カット技術やシェービング技術はもちろん、お客様の骨格や肌質、好みなどに合わせた提案力やデザインセンスも求められます。
カット技術
理容師のカットは、刈り上げからのカットが基本となります。
正確に長さを切りそろえたり、面をきれいに切りそろえる技術が必要です。
髪の毛だけでなく、ひげや眉毛などの顔の毛も扱います。
そのため、髪型だけでなく、顔全体のバランスや印象を考える必要があります。
パーマ技術
理容室では男性向けに短髪でのパーマを得意としています。
ショートスパイラルパーマ
ショートヘアスタイルにスパイラルパーマを行ったスタイルです。サイドの髪は刈込、ゆるめのスパイラルパーマで髪に動きを出します。
ソフトツイストパーマ
髪をトップで遊ばせるため、雰囲気をガラリと変えることができます。見た目に大きな変化を与えるため、社会人の場合注意が必要です。
ミックスパーマ
ランダムにパーマをかけていき強めもクセをつけます。全体を強めのミックスパーマにすることで垢ぬけた印象を与えます。
シェービング技術
シェービングとは肌の毛を細かな部分まで丁寧に剃る技術のことです。
おでこや眉、目の下、頬、鼻、口回り、顎周り、首、襟足などの産毛を剃ります。
肌荒れやカミソリ負けしないように温かい泡や温めたタオルを使い、肌を柔らかい状態にするので、安全です。
理容師の仕事道具
理容師として働く際に使う主な仕事道具を紹介します。それぞれの道具の使用目的や役割を押さえておきましょう。
ハサミ
ハサミは理容師の基本的な道具です。髪やひげを切る際に使います。ハサミには以下のような種類があります。
ベーシック
最もポピュラーなハサミで、足部分の両方に刃がついています。
さまざまなカットに使えますが、主にベースカットやブラントカットの際に使用します。
ハサミの長さによってカットする部分やヘアスタイルが変わってくるため、ほとんどの理容師は長さの違うベーシックを複数本持っていることも。
セニング
いわゆる、スキバサミです。片方の刃がになっているので、髪の毛の長さはそのままで量を調整するときに使います。
一度のカットで切れる割合をカット率やスキ率、落ち率などと呼びます。
スライド
片方にしか刃がついていないハサミで、髪の毛を滑らせながらカットします。
髪のボリュームを抑えたり、動きのあるヘアスタイルを作るのに有効です。
バリカン
バリカンは電動の機械で、髪やひげを均一に切る際に使います。
理容師が使う業務用バリカンは機能や切れ味が本格的で値段も高価です。
また、日々使われることを想定しているため、耐久性に優れお手入れもしやすくなっています。
シェービングレザー
レザーはカミソリのことで、髪やひげを剃る際に使います。
理容師の職業病
理容師の職業病として、手荒れ、腱鞘炎、腰痛などが挙げられます。
これらの症状は、理容師の仕事に伴う長時間の立ち仕事や手の使い過ぎによって引き起こされるもので、放置すると重篤な障害になる可能性があります。
手荒れは、洗髪などでお湯を使うことによって皮膚が乾燥し、ひび割れやかゆみを引き起こします。
腱鞘炎は、手首や指の関節に炎症が起こり、痛みやしびれを感じるものです。
腰痛は、長時間の立ち仕事や姿勢の悪さによって腰椎や筋肉に負担がかかり、慢性的な痛みを引き起こすものです。
他にもむくみや肩こり、膀胱炎などが挙げられます。
症状がでたら適切な治療や予防を行うことで改善できます。自分の体の変化に気づき、無理をしないようにしたいものです。
理容師に向いている人の特徴
理容師に向いている人の特徴について、以下のように説明できます。
コミュニケーション能力
他人とのコミュニケーションを苦に感じないということです。理容師はお客様との会話が仕事の一部です。
お客様の要望を聞き出したり、髪型やファッションのアドバイスをしたり、リラックスした雰囲気を作ったりするためには、コミュニーケーションスキルが必要です。
同僚や上司とも円滑にやりとりできることが大切です。
体力と忍耐力
体力と忍耐力を持っているということです。理容師は一日中立ち仕事で、手や腕に負担がかかります。
お客様の予約が重なったり、急なキャンセルがあったりすることもあります。そうした状況に対応できるだけの体力と忍耐力が求められます。
向上心
さらに、新しい技術を取り入れていく向上心があるということです。
理容師は常に技術の向上を目指す必要があります。髪型やカラーのトレンドは変わりやすく、お客様のニーズに応えるためには最新の技術を習得していくことが重要です。
自分の得意分野を広げたり、資格を取得したりすることで、キャリアアップのチャンスも増えます。
流行に敏感
おしゃれに敏感でトレンドをサービス提供に応用できるということです。
理容師はお客様に魅力的な髪型を提供するだけでなく、自分自身もおしゃれなイメージを持つ必要があります。
お客様は理容師の見た目や雰囲気から信頼感や好感度を覚えます。
おしゃれに敏感であれば、トレンドをキャッチしてサービス提供に活かすことができます。
例えば、流行の髪型やカラーを提案したり、アクセサリーや化粧品などの関連商品を販売したりすることができます。
細かい心遣いや気遣いができること
理容師はお客様に快適な時間を過ごしてもらうために、細かい心遣いや気遣いが必要です。
お客様の頭皮や髪質に合わせてシャンプーやトリートメントを選んだり、カットやパーマの途中でお茶や水を出したり、仕上げにヘアケアのアドバイスをしたりすることができます。
お客様の話題や興味に合わせて会話を楽しませたり、笑顔や声かけで明るい印象を与えたりすることも大切です。
道具やスタッフを大事にする
理容師は道具やスタッフと密接に関わって仕事をします。
道具は常に清潔に保ち、メンテナンスを怠らないことが必要です。
スタッフとは協力して仕事を進めることが求められます。
予約の管理やお客様の案内、後片付けなどを分担したり、技術や知識を教え合ったりすることができます。
道具やスタッフを大事にすることで、お客様にも丁寧なサービスを提供できます。
理容師業界は常に変化し、進化しています。新しいトレンドと技術が登場し、お客様の期待も高まっています。
男性向けの美容とケア市場が急成長しており、理容師はますます多くの需要に応えなければならないでしょう。
理容師はトレンドに対応するために、向上心が不可欠です。
理容師業界は美容とケアの分野で、新たな可能性が広がっています。これらのトレンドを把握し、進化する業界で成功を収めるために、知識とスキルを磨くことが重要となるでしょう。